確かに昔、生まれ変わったら憧れのキャラたちとうはうはライフやってみてー、とか思ったことはある。
でもそれは結局現実になることのない希望だって理解していたし、真実心の底から願ったところで得ることはできないのだと知っていた。
だから口で言うくらいは自由だ、創造するくらいは自由だと色々妄想なりなんなりしたんだ。
だけど、もしそれが本当に叶うと知っていれば、願ったりなんてしなかったのに・・・・。
しかも、よりにもよって生まれた所が、愛読していたワンピースの主人公、モンキー・D・ルフィの兄、ポートガス・D・エースの双子の弟という立場だなんて・・・・・・・・・・・・・・・夢小説の設定だったらオイシイで済んだのに!!!
自分の為だけに、私は戦っている
生まれ変わった世界が危険極まりない海賊の世界だと知ってすぐ、私がしたのは逃げ足の修行だった。
え?戦闘能力アップじゃないのかって?
阿呆が。
そんないくら血の繋がった兄が化物級の戦闘能力を誇ろうが、同じく人外な頑丈さをもつ弟がいようが、私は私であることに違いはない。
もしそーいった潜在能力があったとしても、それを開花させるためには修行が必須。
正直言って、現代っ子精神究めた元女の子である私には土台無理な話ってもんよ。
だけどそんなこと言ってたんじゃ上下兄弟に巻き込まれ自分の身が危ないのは目に見えている。
だから、鍛える逃げ足。
逃げ足さえがっつり磨いておけば、別に力が強くなかろうと生き残る確率はぐっと増す。
前世が10代後半での事故死だったのだから、今度こそ老衰で死ぬまで人生を謳歌したい。
出来るならば子供を作り、孫に囲まれたほのぼのライフを築きたい!
なので、いずれ弟の仲間になる長鼻くんすら追い抜くほどの逃げ足キング、私はそれを目指す!
(なんて意気込んだのに、何故私はグランドラインなんて死亡率高い海にいちゃったりするんだろう・・・・)
逃げ足を鍛えつつ、だけれど危険には一切関わらない一般人を目指していたはずなのに、気づいたら賞金首な私。
たぶんあれだ、惚れた女を取られたからって突っかかって来た男を(弱そうだったから)フルボッコで返り討ちにしたのがいけなかったんだ。
で、実はその男が海軍で、しかもエリート(多分金で買った地位だろうな。弱かったし。)
だったもんだからそこそこな賞金かけられて、ちょっと小遣い稼ぎのつもりで襲いかかって来た(これまた弱い)
賞金稼ぎをボコッて、その後たまたま遭遇した海兵を(弱そうだったから憂さ晴らしのつもりで)
からかって即・逃走かまして、その海兵がこれまた結構な地位の人物だったとかで賞金あがって、で、また来た賞金稼ぎを
(人数だけ多い雑魚だったから)適当にボコッて・・・・・・・・
と、まぁ、なんか海軍の偉い人(しかもことごとく貧弱な連中)とのエンカウント率がやたらと高く、賞金首だからまともに就職も出来るわけないから資金面で困り、
しょうがないからお財布やらなんやらをちょろまかしていたら、やっぱり上がる賞金額。
で、賞金額の上昇とともに増える賞金稼ぎの方々。
私がどうにかできるレベルの相手ならフルボッコ+慰謝料請求(金目のものを分捕ることね☆)。
ちょっと怪物レベルだったら即・逃走。
ただちょっと上がる速度と金額高すぎない?
なんて疑問をもったのは、数瞬間前。
あ、もしかして逃走に使ってる技がCP9の技(逃走手段として魅力的だったんだもの)ってのがネック?
とか思い始めたのが、3億なんて超化け物になっちまった弟の手配書を見たあと。
(でも3億かぁ・・・・・・・すっげぇなぁ・・・・私より低いけど・・・・)
たしか原作の通りなら、ルフィが政府に喧嘩を売ったせいでこの額につりあがったんだっけ?
ってことはつい先日やってしまった、天竜人の姉ちゃんからのナンパあっさり拒否事件は、世界政府への反逆より罪が重いってことなのか、そうなのか・・・・・。
ってな感じに落ち込んだのがつい先日。
「あれ、?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ルフィ、か」
しつこい賞金稼ぎたちから逃れるため立ち寄ったとある島で、懐かしき、もう二度と会いたくないと思っていた弟と再会したのが、現在。
「うっわー!ひっさしぶりだなー!ハハ!なんだよもグランドラインに入ってたのかー!」
「・・・・・久しぶり。お前は何でこの島に・・・・?」
「たまたまだ!」
「・・・・・・・・・・そうか」
この馬鹿に素直に聞こうと思った私が馬鹿たっだ。
「いやー、結構前にエースには会ったんだけどよ、の事はなんっも言ってなかったから、まだ東の海に居るのかと思ってたぞーおれー」
「・・・双子だからといって、いつでも連絡を取り合っているというわけではない。・・・私がこの海にいるのは・・・・まぁ、お前が旅立つのを見送った後に色々あって、な・・・・」
「お、ってことは、ついにおれの仲間になってくれるってことか!?」
「何故そうなる」
「えー。おれの仲間になりたいから追いかけてきたのかって思ったのにー」
「・・・・・・・・・・・・・・・私は海賊になんぞならない」
「なんでだよー、海賊は良いぞー、自由だかんな!」
「知るか」
・・・・・この様子だと私が賞金首になったことは知らないようだな。
まぁいずれはバレるのだろうけど、こいつのことだ、絶対にそれをネタに仲間入りを強制してくるはず。
だから今現在バレることだけは絶対に阻止しなければいけない。
「・・・ルフィ、久しぶりに会えたのは嬉しかった。だがわた「なぁ!おれの船に来いよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・だから、仲間にはならな「いーじゃん固いこと言わずにさー!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいかげ「それに仲間紹介したいしー!」
「人の話を遮るな、愚弟がっ」
「おべしっ!!」
久々な弟のマシンガントークについつい堪忍袋の緒が切れちゃった☆
爺さん直伝「愛ある拳」を究めた私だからできる、ゴム人間への打撃。
やっぱりゴムだからかアホみたいにぶっ飛ぶ弟をため息つきつつ視線で追っていたら、ふと感じた嫌な気配。
「っ!!」
ガキィッ
金属と金属がぶつかる大きな音を認識した瞬間、すぐさま剃(ソル)で間合いを取る。
(びびびびび、びっくりしたぁっ!!!)
バクバクとなる心臓を余所に、視線は今しがた攻撃してきたマリモ・・・・・マリモ・・・・?
「・・・・・ロロノア・ゾロ(じゃんよ、ぎゃーーーーっ!!!)」
「お前、なにもんだ」
警戒心たっぷりの視線。
だけどその中にほんのわずか存在する、歓喜の色。
(なにこれなにこれ、どゆことー!?なんで私いきなり攻撃されてんのさー!?・・・・って、もしかしてルフィ殴ったから敵認識!?いやー!!)
ちらり、と視線をルフィに向ければ、きょとーんと、だけど面白い見世物を前にしたようなきらっきらした視線がこちらに。
(この愚弟が!!少しは助けようとか思わないのか!?ととととと、とりあえず、私が敵じゃないと分からせるしかない!?)
ふと思い出した右手の重み。
先ほどの奇襲で反射的に刀を抜き、今現在も癖でとってしまった戦闘態勢。
(一先ずっ、戦闘態勢解かないと私の命がマジヤバッ!!)
若干慌てて抜き身だったそれを鞘に納め、声が震えないように緊張を内側に押し込み意識を友好的なものに切り替える。
「・・・私は、ポートガス・D・。そこの馬鹿の兄をしている」
「って、なんだよ、戦わないのかよー」
「・・・・・・・無駄な争いで(私が)血を流すのは避けたいからな(じゃないと賞金稼ぎを相手にすんの大変なの)」
「むー」
「「「「「「「兄ィっ!?!?!」」」」」」」
「あらあら、似てないのね」
(うおっ!?)
なんかいきなり大声が近くで上がってびっくり。
ってかチキンの傍でそんな大声マジ禁止!
バクバクと再びなり出した私のかよわい心臓。
鉄面皮と名高いポーカーフェイスの私でも、こうも連続で続くと流石に表面に感情が出てしまう。
(・・・・って、なんかこの見覚えあるメンバーは・・・・ルフィの仲間たち!?)
ひーふーみー・・・え、8人?
ってかそのうちの一人って骸骨じゃん!
私知らないし!
ってことは前世出てた原作をすでに超えてる!?
・・・・・・・・・・・・・・・あ、なんか思い出した!
あの骸骨、たしかモリアんとこになんかいた気がする!
ってことは仲間になったのかー、へー、ほー・・・・・・
「勢揃い、か・・・・」
若干遠い目になった。
「え、あなた、本当にルフィのお兄さん・・・・?」
すんげー疑ってます、って意味がっつりこめて私に話しかけてきたのは、すんげーボイン(死語)でオレンジ色の髪をした女性。
手配書で見たから間違えないよ、たしか
「『泥棒猫』ナミ、か・・・・・」
前世でどれだけ羨んだか、そのボイン(死語)とナイスバディ(死語)。
「愚弟が世話になっている。これのことだ、無理難題をこれでもかと押しつけ突き進んできたのだろう」
「ええ、まったく」
わ、すっごい即答。
思わず頬が緩んじゃったよ私。
「っ!!」
「今後とも多大なる迷惑をかけることになると思うが、これの兄として、どうかよろしく頼みたい」
自分がルフィの兄だと理解してから、ずっとルフィの仲間たちに言いたかった言葉。
それを申し訳ないと思いつつも、深く腰を折り言葉を発せば、驚愕の気配がちらほら。
「っエースといい、この人といい、何でルフィの兄弟はこんなに礼儀正しいの!?」
「あの人はまだルフィと似たとこあったけど、この人はマジでルフィと血ぃ繋がってるのか!?」
「海ってこんな不思議なこともあるんだなー」
「不思議どころじゃねーよ・・・」
「しししししっ、はエースと双子なんだよ、で、エースよりつっえーんだぜ!」
「「「「「「「なにぃっ!?」」」」」」」
「純粋な力だけならば、アレのが私の上を行く。過大な評価はするな」
「えー、でも事実じゃん!」
「・・・あれは動きが読みやすいだけだ(こーいうとき双子って便利ー)・・・」
「そーいや知ってるか?エースの奴悪魔の実の能力者になってるんだぜ!」
「・・・・・知っている」
「これでエースとが戦ったら、どっちがつえーんだろうな?」
「さぁ。多少能力の恩恵があったとて(足の速い動物系の能力じゃない限り)、私(の逃げ足)にはまだ追い付けまい(…たぶん)」
「思いだした・・・・」
再び静かになったルフィの仲間たちを置いて話をしていたら、唐突に口を開いた黒髪のボイン(死語)のお姉さん。
気づけば私とルフィ含む全員が彼女に視線を向けており、だけどその人は私に視線を固定。
(・・・・・・・・・えと、なんでしょう?)
「サングラスをしていたから気付かなかったけど・・・・あなたチェシャ「すまない、急用ができた」
(っぶねー!あぶねーよ!)
ルフィは知らなくても、仲間の誰かが私を知ってる可能性手の忘れてた!
私の二つ名『チェシャ猫』が耳に入った瞬間、速攻で回れ右。
余計なことをこれ以上言われる前に軽い挨拶後、全力の剃(ソル)で逃亡。
(・・・いい加減どこかで静かに暮したいっ・・・・・!!)
おまけ
ロビン「あら、噂にたがわぬ俊足ね」
ナミ「え、ちょ、何今の!?一瞬で消えたけど何かの能力!?」
ゾロ「いや、今のはただ速く動いただけだな」
サンジ「ロビンちゃん、ルフィの兄貴のことご存じで?」
ロビン「ええ、彼はおそらく『チェシャ猫』だと思うわ・・・・」
ナミ「チェシャ猫!?」
ルフィ「なんだぁ、のやつエースみたいにどっかの海賊団に入っちまったのか?」
ナミ「違うわよ、馬鹿!チェシャ猫は海軍でも海賊でもない、ただ目の前に立ちはだかる者をことごとく潰す、『災害』よ」
ルフィ「なんだぁ、それ」
ナミ「わっかんないわよ!ただつい最近現れて、ほぼ毎日賞金額が上がっていくような危険人物だって今日の新聞にも・・・」
フランキー「・・・そーいやあいつの今の動きどっかで・・・・・」
ロビン「サイファー・ポールの使っていた技とよく似ていたわね・・・・」
ルフィ「は一度見た動きは何でも自分のもんにできっからな、どっかで戦ったことあるんじゃねーの?」
ナミ「あんじゃねーの、って・・・・本当にあんたの所の一族は人外ばかりね・・・・」
ブルック「ところでさっきは何でいきなり消えたんでしょーね?」
ロビン「私が彼の通り名を口にしたら唐突に、だったわね」
ナミ「もしかして、海軍か賞金稼ぎに追われてる途中だった、なんてことは・・・・・・・・・」
全員「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ウソップ「あいたたたたたっ!きゅ、急に『島にいてはいけない病』がっ!!」
ブラウザを閉じてお戻りください