大和国。
別名をジャポン。
前世の日本とよく似た歴史を持つ、現在私の生まれ育った国の名前だ。
大和国の歴史は古く、島国という環境のため独特の文化を育み、凝り性な国民性ゆえか世界でもトップレベルの科学技術を誇る技術国家である。
しかし大和国はつい数十年前まで完全鎖国体制をとっていたため、その事実は世界的にあまり知られていない。
というか知名度もあまり高くなく、認識的にも『小さな島国』という、やっぱり日本とどことなく似た感じ。
ただ日本と大きく違うところは、いまだ幕府体制が存在しているってところ。
徳川家が実質国のトップなんだ。
んで、私の生まれた家は、その徳川家に近しい家系。
まぁ、いわゆる徳川御三家ってやつね。
ただ前世の世界とはいろいろと違うため、前世の御三家とは役割も立場も結構違う。
・・・・・まぁ、普段は将軍家を支え、様々な事情により将軍家に後嗣が絶えたときは養子を出す、ってところを押さえておけばオッケーよ。
詳しく説明すると長いから。
とりあえず何が言いたいかというと、嫌になるほど面倒くさい家に生まれちゃったってこと。
こんな日常(高校生編)
家五男、。
今年16歳の高校1年生、青春真っ盛り。
まだ成長期が来ていないため身長は平均より若干下。
ただし顔立ちは馬鹿みたいに整っているため、ぱっと見、美少女なジレンマ。
いや、ほら私って一応前世女だからね。
自分が美少女って注目集めるのは嬉しいのよ。
けれど、男として16年育ってきたわけでやっぱり『かっこいい』のほうが良いって思ってしまうわけで・・・。
ちょー微妙。
あ、だからってモテないわけじゃないよ?
美少女な外見ってさ、これが意外と使えんのよ。
警戒心が起きにくいんだろうね。
普通に仲良くしてて、ちょっと男らしいところ見せればコロッと。
ていうか、外見美少女で、(表向きの)性格は漢(と書いて、オトコと読む)、家は名家、武道の腕は全国五指、成績(二度目だし頑張ったため)優秀。
これモテないはずないし。
まー、問題があるとすれば、どの子とも長続きしないってことくらいかな。
長くて2週間。
短くて5分。
最悪じゃね?
しかも分かれる理由ってのが、ほとんど女の子達側が原因。
私は、付き合うことになったらとことん愛すし、甘やかす。
すると女の子は付け上がり、私という彼氏がありながらほかにも男をつくること8割。
超絶わがままに変身が一割五分。
残る五分は腐の目覚め。
・・・・・・・・・・・・・・・・最後のはね、私が男友達と絡んでるのを見たら開眼しちゃったらしいよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ちなみにその元カノは今でも良いお友達です。
それ以外の元カノは疎遠だけど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・って、元カノの話はどうでもいいんだよ、何でこんな語っちゃってんだ私!
あー、えーと、とにかく私はそこらの女の子達も霞むほどの、美少女顔な現状ってことを理解してくれ。
そして私は実家の道場でも、全国的に見ても上位に入る剣士。
で、その家がめっちゃ名家で、その家の私は五男坊。
んで、現在高校一年生。
この4つ。
もっと分かりやすく言ってみよう。
美少女顔。
→将来的に美青年。
全国上位の剣士。
→顔だけじゃない。
家柄と私の立場。
→後継ぎはいるし、五男は婿に出すも養子に出すも自由。
歳。
→ほどよい。
結論。
→お見合いとか始めるにちょうど時期よくね?
そんなわけで、私最近お見合いばっかりで正直うんざりしてます。
「ってわけだから、おまえ、私の代わりに見合い行ってみないか?」
「・・・・・・・・・・・久しぶりに会ったってのに、開口一番それかよ」
「私の振りして、適当に相手喜ばせて、適当に振ってくればいいだけだ」
「いやいやいやいや、つーか次の見合いって譜代大名の姫君だろ!?バレたらやべぇって!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やけに詳しいな。さてはお前、身辺警護の任まかされてる?っち、使えねー奴」
「うぉぉおおおおおおいっ!?!?」
面倒事はさっさとハンゾーに押し付けるが勝ちと余裕ぶっこいてたのに、当てが外れて苛立ち倍増だ。
つーかあそこの姫さんうざいんだよ。
性格さいっあくだし。
私に対しては愛想いいよ、流石にさ。
でも、本性知ってる私からすれば、ほんの数時間かかわるのも嫌。
滅べ、ぶりっこ!!
生憎と私はぶりっこにゃぁ騙されねーからな!!
きめぇんだよ!
ぶりぶり可愛こぶりやがって、こっちはさぶいぼ堪えるのにどれだけ労力使ってることか!
「・・・・・・・・・しゃぁねぇ。おいハンゾー、お前仕事ぶっちぎれ」
「無理!」
「何人か女紹介しただろうが」
「ぐっ・・・・・・っ、それとこれとは別!!」
「修行付き合ってやってるだろう」
「ぬぐっ・・・・・・・・・・・っ」
「・・・・・・・・・おまえ、あの姫タイプなんだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っっっっっっ!!!!!」
趣味わりーな。
でもそれが今回役に立ったぜ。
がくりと膝が折れ、畳に突っ伏したハンゾーを上からにやりと見下ろす私。
「じゃ、まかせた」
「・・・・・・・・・・・・・・ま、まかされた・・・・・・・・!!(涙)」
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