俺ほど波乱万丈という言葉がぴったりしっくり当てはまる人生を送るやつは、そうそういないんじゃないかと思う。
始まりは、中学校の卒業式。
生徒指導部の天敵と最後のバトルを繰り広げ、傷だらけで歩いた桜道。
(誇張表現に非ず)
ふと立ち止まり見上げた空は青く、ざぁっと吹き抜けた強い風に思わず目を瞑り・・・・・・・・・・次に目を開けたら荒野のど真ん中でした、な最初。
いったい何がどうなったのかさっぱり分からず慌てたっけ。
しかも困惑してる最中目の前に現れたのが、ゲームでよく見ていた黄色い鳥、チョコボ。
ゲームのナンバーによっては違うけど、俺が一番はまったセブンではモンスターと一緒に出てきて、モンスターのみを倒したらゲットできる存在だった。
でもまさか本物のチョコボなわけないよなーと思ったのは、決して現実逃避なんかじゃない。
でも不自然な動きしてないからガチで存在する動物だと分かったし、なぜか懐いてきて撫でれたそれの手触りも、紛う事なき脈動する生き物。
困惑するまま俺はチョコボにまたがりうろついてみれば、出てくる出てくる、知ってるゲームと同じモンスターや町。
ああそうか、これ夢なんだと思い、どうせ好きなゲームの夢見て好きに動けるなら好きに行動すべきだろうと考えた俺は、憧れの英雄に会うべく軍へ志願。
何故だか軽く感じる身体に、まぁ夢だから、と納得しつつ頑張っていれば、あれよあれよという間に昇進。
ちょっとこれ現実くさくね?と思い始めた時には、ハリネズミみたいなボンバヘアの友人と組んでソルジャーなんて職業にまでなっていた。
とりあえずそこが現実の世界だと理解した俺は、将来起こることをどうにか変えようと頑張ったんだよ。
嫌いだった勉強をたくさんして力だけじゃなく知略も使うようになったし、俺より年上ばかりな同僚相手に舐められないよう様々な経験も積んだ。
ゲームの主人公とも友情築いたし、憧れていた英雄とも友情が育めた。
だけど、やっぱり流れは変えられなかった現実。
気づけばあたりは火の海で、友人を追いかけて行った先ではもう一人の友人が殺されそうになっていた。
だから俺はがむしゃらにそれを止めようと突っ込んで行ったんだけど・・・・・・・・・・・・・・運が悪いのか、はじかれ落ちた先はライフストリーム。
あ、やべ、俺死んだわ。
そう思って目を瞑った瞬間、背中に走った衝撃。
驚いて目を開ければ、コンクリートの壁の間に、灰色の空が見えた。
呆然としていたのはものの数秒。
すぐに気を取り戻し、何があったのか調べようと走り出した。
そして判明する、二度目の異世界越え。
「HUNTER×HUNTERの世界って・・・・・まじかよ・・・・・・・・」
呆然とつぶやいた声は、いつの間にか降り出していた雨音にかき消されてしまうほど掠れてしまっていた。
これゲームでいう強制リセットってやつ?うっわ、最悪
ここでちょいと自慢させてもらう。
俺はだな、普段は使ってないだけで実はめちゃ頭いーのよ、ってキャラを地で行ける頭脳の持ち主なのです、ハイ。
一度見たことはよっぽどのことがなけりゃ忘れねーし、応用もある程度きく。
楽しかったことも悲しかったことも皆平等に、脳みそに完璧記憶しちゃってるタイプの、ある意味天才様?
だから前に漫画で見たハンター文字ってやつがこの世界にあって、他にもいろんな情報と照らし合わせることでこの世界がハンター×ハンターだって気づけたわけなんだよ。
で、年代があほみたいに原作よりかなり前ってことにもすぐ気づけたし、なら前みたいにあせらず原作改変して遊ぼうかとか思っちゃったりしたわけよ、俺。
ひとまずハンター試験は主人公たちと同時期に取ろうって思ってるから、最初にすることは金稼ぎ。
そう思って始めた賞金首ハンター。
まぁ前いた世界じゃ戦闘のプロ集団のトップクラスに所属してたわけだから、そんな難しくはなかった。
ある程度余裕が出てきたら、今度は記憶してる念を起こせないものかと修行スタート。
で、思いのほかあっさり習得できた俺は、しばらくして再び稼ぎ始めたんだよ。
やっぱり原作スタートよりうん十年前ってこともあって、そんな強い奴もいないし暇かな〜って思ってたけど、念能力開発が意外と楽しくて、気づけば数年。
俺もついにハタチだよってときに、何故だか育てることになってしまった赤ん坊(♂)。
道端とか家の前にとかで拾ったとかだったらそのまま交番に届けるんだけど、何故だか届いたわけですよ、赤ん坊が。
宅配便で。
ちなみにコウノトリ運輸。
何の冗談だよって突っ込みは、もちろん盛大に入れた。
たぶん乳幼児のそれと一緒に入っていたカードには、
『頑張って育てたらきっといいことあるヨ』
と書かれていた。
もちろん破って捨てた。
んで送り返してやろうと記入された送り主を見たら、なんと俺の親の名前。
ちょー懐かしくなって、まじまじ何度も見直したけど間違いなく、俺を生み中学卒業まで育ててくれた、親の名前。
しかも冗談なんかじゃない、筆跡も、住所も記憶するとおり。
ここ数年で身につけた伝手をフルに使って送り主を探してみたけど、まったくもって見つからない送り主。
何が何だか分からないけど、とりあえずこの赤ん坊は俺の弟なのかな?
いやでも年齢的に見れば俺の息子?
とりあえず戸籍なんてない俺。
その子供もやっぱりなく、仕方なく俺が育てることになったわけです。
そして最初の問題発生。
命名だ。
赤ん坊が詰め込まれていた箱には名前らしき記入は一切なく、しょーがねーので俺がつけるしかない、と。
だが正直生き物に名前なんてつけた経験がない。
困った。
非常に困った。
仕方ないので友人の名前をつらつら挙げて行って、反応したやつにしよう、ってことに。
「セフィロス、ザックス、クラウド、アンジール、ジェネシス、ツォン、レノ、ルード、ルーファウス、リーブ・・・・・・・・・・・・・」
「ぶぅー、あー、だ、うー」
不評だぞ、おい。
仕方がない。
それじゃあ将来原作キャラとかぶって俺を笑わせてくれ、ってことで
「ゴン、キルア、クラピカ、リオリ・・・レオリオ、イルミ、ヒソカ、シルバ、」
「あーっう、あー、あー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シルバ?」
「うー、あ、ぶー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒソカ?」
「うっきゃぁー、あー」
こいつ趣味悪っ。
よりによって変態戦闘狂かよ!
ちょいと試しにほかの適当な名前で呼んだけど、どうにも『ヒソカ』という響きが気に入ってしまったのか反応すら返さなくなる始末。
仕方がないので、将来あの変態と同名ってことに自分で嘆け、とほとんど投げやりに赤ん坊の名前は決定した。
5年後。
とりあえずこいつ俺と血のつながり無い、と確信。
だって成長してきたこいつの顔、うちの家系にあるまじき美麗系の美少年だぞ?
両親は筋肉達磨(父・覆面レスラー)と男女(母・生まれた性別間違えた男くささ有)だぞ?
おかげで俺は筋肉質がっちり体系な男くさい顔。
決して、弟
(息子とは認めない)
のような美麗系が生まれる遺伝子は存在しない。
だけど素質のほうはあるようで、格闘技を少々教え始めてみたり。
さらに5年後。
なんかヒソカ(弟)が、ヒソカ(原作の変態)に似てき様な気がしなくもない。
だけどそれ以上に気になる俺の体。
一応30歳目前のはずなのに10代後半から20代前半に見えるこれは、念の影響・・・・・・・・・・・・・・?
さらに今度は10年後。
こいつ(弟)が原作の変態(ヒソカ本人)だと気づいた。
念を教え始めたころからもしやと思っていたけど、独り立ちをさせていたので気付かなかった。
久しぶりに会った弟がピエロルックに目覚めていただなんて・・・・・・・・・・・・(涙)
とりあえず道化師の何かがヒソカの琴線にクリーンヒットしたらしい。
そして現在、原作スタートの時期だ。
「え、兄さんハンター試験受けるの?」
「あ?お前は受けねーのか?」
なんか前回受けて、それほど楽しくもなかったからもういいや、とか思っていたらしい。
おいおいおい、それじゃ原作はじまんねーよ。
いや、主人公が参加するなら始まりはするか。
でもヒソカって結構ところろどころで活躍(?)するキーパーソンだから、やっぱいなきゃダメだろ。
「・・・・・今回の参加者にはお前の気に入りそうな連中が多いのだが、そうか参加しないのか」
「・・・・・なにその情報」
「いやなに、友人たちの子供が受けると知ってな。どんなものか気になって俺も受けようと思っただけだ」
「へぇ・・・・・・・・・・・・♥」
よし、ヒソカが興味示した。
「ただの子供だったら興味なかったが、ゾルディックとフリークスのいいとこ取りの子供なんてそうそうお目にかかれないからな」
「で、兄さん今まで全く興味示してなかったのに行くんだ?」
「ああ。最近仕事もライセンスがあったほうが楽なのが増えたしな。お前が去年受けると聞いた後から考えてたんだよ」
「ふーん・・・・・・・・・・・・・・・・♦」
普通ではなかなかそろわない面子にプラス俺、このコンボは面白い物好きのヒソカにはいい餌になる。
だからなんてことはない風にそう告げれば、ヒソカの興味はびんびんだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり僕も受けようかな、ハンター試験♥」
・・・・・・・・・・・・・・よし来た!
ブラウザを閉じてお戻りください