一生
意味は、生まれてから死ぬまでの間。
つまり人が誕生し、人としてその幕を閉じるまでを【一生】と言う。
ならば人が生まれ、命を落とし、再び生まれることは【一生】になるか。
たとえば、心臓が一度止まり、蘇生を施し再び鼓動を始める、これは【一生】の内に入るだろう。
だけれど、自身が一度灰となったあと再び母体からのスタートになれば、これはもはや【一生】の次となるだろう。
輪廻転生、生まれ変わり、そう呼ばれるものは、はたして【一生】の内に入るのか。
・・・・・・・・・・・・・まぁ、俺が何を言いたいのかというとだね、現状は一体何なんでしょーかってこと。
「おい見ろよ、あのガキだろ」
「へー、本当に目の色が違うんだなー」
「あれで本当に純粋種なのか?」
「………うーだ、あー(じろじろ見てんじゃねーよ、おっさん)」
「はははっ、いっちょ前に威嚇してるぜ!」
「高レベルな戦闘力をもっているだけはあるなー」
「てか女でこれだけ数値高いと、将来どんな化け物になるんだろうな」
「・・・・・・ぷー・・・・」
あー…と、今ので大体わかってもらえたら幸い。
うん、実はさ、俺実際体験中なんだわ。
その、転生ってやつ?
しかも、性別が逆に。
俺にとっての死は終わりじゃなかった
なんか聞き覚えのある言葉の数々。
ひょろひょろと股の間から見える尻尾。
自分は事故で間違いなく死亡したはずが、何がどうなったのか赤ん坊からやり直しな現状。
生まれた先がどうにも生前(?)に見ていたドラゴンボールっぽいな、って思ったのは生後半年たったときだった。
「様〜、おくちアーンしてくださいねー」
「あー」
「はーい、そしたら今度はむぐむぐ〜してごっくん!」
「〜〜〜んくっ」
ど迫力ナイスバディな美女に世話してもらえるなんて、生まれ変わりって結構イイかも知んないとか思い始めた今日この頃。
なんかさ、俺この世界じゃ結構イイご身分らしくてさ、しかも出生率の低い女児・・・・・・・・・・・・・・なもんだから、余計に大事に大事に扱われてます。
で、そんな俺の世話役は超絶美女のナイスバディ。
「やーん、もぅ様ほんっとうに可愛い〜!」
「うあー、だー、あー(お姉さんはほんっとうにお綺麗っすね〜)」
「はいはい、そんなねだらなくてもすぐあげるわよぉ〜」
にっこにこの悩殺笑顔。
でもその手には離乳食を乗せたスプーンが。
「・・・・・・・・・・・・・・・・うにゅ〜(・・・・・・・・・・・・場面がいけねぇな、場面が)」
心の中では現状の切なさに涙し、表向きは結構おいしい離乳食を笑顔でもぐもぐ。
それに合わせて尻尾がゆらゆら揺れているのを感じるけど、もうなんてーか馴れたからどうでもいい。
あ、言い忘れたけど、俺どうやらサイヤ人として生まれちゃったらしい。
しかもエリートの家系で。
一応髪は黒く猿っぽい尻尾も生えてるけど、ただ一つ問題なのは目の色。
どういうわけか俺の眼は純粋なサイヤ人にあるまじきオレンジ色なんだ。
最初はそれでいろいろ騒がれたんだけど、やっぱりそこは単純戦闘馬鹿なサイヤ人。
まあ潜在能力結構高いし、生まれつきの力もなかなかのもの。
しかも数の少ない女児だし遺伝子上でも特に問題ないのだから、ちょっと眼の色が違くても問題は無し、と。
珍しげにじろじろと見られることもあるけど、それもしばらく経てば減るってくらい。
ただ一つ問題があるとすれば……………
「これだけ可愛くて、潜在能力も高くて、しかも将来ベジータ王子のお嫁さんになることが決まってるなんて、ほんと様羨ましいわ〜」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自分が女になって生まれ変わったのはどうにか納得できた。
だけどな、いくらなんでもあのM字の婚約者だなんて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!
「やーぁーーーーーーーー!!(絶対やだーーー!!!)」
「あら、おしめかしら?」
「だぅーーーーーーっ!!(ちがうーーーー!!!)」
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