さんさんと照りつける太陽に、じわじわと煩い蝉の声。

 その日は、いつにも増して暑い日だった。



「ナナリー様、喉は渇いておられませんか?」

「・・・・・・・・お兄様の分を残しておかないと」

「ルルーシュ様の分は別に用意していますから、お気になさらずお飲みください。熱中症にでもなったら大変です」

「フェリドの分と、スザクさんの分は?」

「ご心配には及びません」

「・・・・・じゃあ、少しだけ・・・・・」

「はい」



 ブリタニアと違いはっきりとした気温の変化は、正直辛いものがあった。

 ・・・・・・・・・一応、俺は幼い頃から――それこそ物心つく前から――鍛えていたおかげで、ある程度は我慢できるからどうにかなる。

 けれど、皇室で暮らしていたナナリー様と、俺の主であるルルーシュ様は違う。

 お二方は本来、こんな辛い思いとは無縁の存在。

 だからたとえ己の身が擦り切れようとも、できる限り守っていこうと誓っていた。


 たとえ自分に微力な力しかなくても。



「・・・・・・・お兄様たち、どこまでいったのかしら・・・・・」

「すぐに戻ってまいられますよ」

「・・・・・・・・・ごめんなさい、フェリド。私がこんなだから・・・・・本当はお兄様の側を離れたくないのでしょうに」

「なにをおっしゃいますか、ナナリー様。確かに俺にとっての一番はルルーシュ様です。ですが、ルルーシュ様の一番であるナナリー様の側を任せられたことは、何よりも得難い使命なのです」

「フェリド………」

「それに今はルルーシュ様の側にスザクがいます。あいつは頭はからっきしでも、実力はそこいらの大人にも引けを取りません」

「・・・・・・・・・・・・・・そうですね、ありがとうございます、フェリド」

「勿体ないお言葉、恐悦至極に存じます」

「もうっ、またそんな難しい言葉!・・・・・もう少し砕けてくださっても、お兄様は怒りませんのに」

「これはもう、ほとんど癖ですので・・・・・・・・・・・・」

「わかってます!………………あら?」

「ナナリー様?」

「何か音が・・・・・・・・・・・」

「音・・・・・・?」

「えぇ、あっちの方向から・・・・・・・・・・」



 ナナリー様が指差されたほうは、つい先ほどルルーシュ様とスザクが向かわれた方向。

 もしやまた刺客か、と思い警戒するも、すぐに違うとそのとき何故か思った。


 ではなにか。

 周囲を探っていた視線をなんとなく空へと移せば、黒い塊が見えた。


 ・・・・・・・・・・・・・初めは鳥の群れかと思ったが、徐々に聞こえてきた音に嫌な予感が。

 目を細め注視していれば、それが鳥などではなく機械・・・・・・・・・・・戦闘機の集団だと分かり、血の気が引いた。



「そんな・・・・・・・・・まさかっ・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・フェリド?」



 ルルーシュ様とナナリー様がいるのに、まさかという思いと、実際目に映る事実。

 ナナリー様の日除けのためと手に持っていた日傘が地面に落ちた。

 続いて湧き上がってきた絶望に、足から力が抜けそうになったけれど、寸前でどうにか持ち堪える。


 一度強く目を瞑り、震える手を強く握り締めることでごまかし、息を吐いた。


 そして突然のことに混乱されるナナリー様の前へとまわり、静かにその御手を握れば安堵のため息が。




「・・・・・・ルルーシュ様とナナリー様は、俺が命に代えてでも、絶対に守ります」

「フェリド・・・・・・・?」



 それは宣言というより、自分に言い聞かせる言葉。



 ――――――――――何があってもこのお二人は、絶対に死なせはなしない




 皇暦2010年8月


 その日、ブリタニアが日本へと宣戦布告を発した。



そして幕は上がった








みたいな感じにプロローグだけ書いたはいいけど、なんか面倒になった(曝)
一応主人公イラストまで書いたのに、続きは出てこないし。
ってか実は、私コードギアスってアニメR2だけ飛び飛び、1期は最初だけで、あとはロスカラでしか知らないから書けないって裏話(笑)
そんなわけでブログのヤケチキも続きが書けてないから、秋月は本当何がしたいでしょーね。

10/05/16
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