多数決の道最初の問いは、最初の扉を開けるか否か。

 勿論、最初の小部屋に留まる理由はないので、全員が『開ける』を選択。


 そして次の問いは、左右に分かれた道のどちらに行くか。

 これはなんとなく左の道から嫌な予感がしたため、右を選択。

 そうすればゴンとレオリオのみが左と選択したらしく、多数決により右へ行くことに。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・ん、順調。



 途中、レオリオが左が選ばれなかったことにぷりぷりしてたけど、クラピカの理詰めで追い詰められたりした。

 うん、将来のカカァ天下っぷりが見て取れるよ。

 ふふふ腐ふふ・・・・・・・。



 ごほん。



 さて、そんなこんなで多数決は3つ目。

 先ほどの道を右に進みしばらくすれば、広い空間へと出た私達。


 縦にくくりぬかれた様なそこは、中央にステージみたいなのがある以外、道が存在しない。

 出入口らしきものは、私達が立っている絶壁の、ちょうど正面に一つ。


 だけどそこには人影が見え、もしかしてほかの受験生かと思ったのだけど・・・・・・・・・・・・・



「我々は審査委員会に雇われた『試練官』である!ここでお前達は我々5人と戦わなければならない!勝負は――――」


 後略。

 要約すれば5人対5人で対決し、こちらが3勝すれば先へと進めるとのこと。


 ここでその対決を受けるか否かを問いかけられたけど、勿論『受ける』を全員が選択した。



「こちらの一番手はオレだ!さぁ、そちらも選ばれよ!!」



 こっちが対決を選らんだ瞬間、そう大声を上げたのは先ほどと同じ男。

 大きな傷跡の残るスキンヘッドに、大柄な体躯。

 中年くらいのそいつは、まぁ、見れる顔立ち。


(でもタイプじゃないな・・・・・・・あ、いやいや、私は今男。自分が掘ったり掘られるのはノーセンキュー!)


 とか一人でぼけやってるときじゃないし。



「で、誰から行く?」



 レオリオのその問いに全員が顔を見合わせ、生まれる間。



「めんどいし、じゃんけんで勝った順はどーよ」

「あ、じゃそれで」



 じゃーんけーんぽんっと、軽い声が広い室内に響き渡った。






さくさくっと行ってみよー








「・・・・・・・・・・・・・・・・」


 何故・・・・・・・何故チョキを出した私・・・・・・・・・・・・っ!!


 運があるのか無いのか、一戦目は私になってしまった・・・・・・・(涙)



さん頑張ってください!!」

「絶対勝てよな!!」

「頑張ってねー!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」



 声援を送る3人(1人はジーっとこっちを睨み付けてきてる)に笑顔で手を振り、足元から現れた橋にトンと軽く飛び乗れば、すぐそこにステージが。



 うぅぅぅううううううう、出来るなら最後まで戦わないで済めば良かったのに・・・っ!!

 正直なところ、相手は結構強いような気がする・・・・・・・かもしれない。



「さて、勝負の方法を決めようか。俺は・・・・・・武器不使用のデスマッチを提案する!」



 ・・・・・・・・・・・・・・ですよねぇ


 普通囚人に武器持たせるはずないし、試験のためだけに持たせるわけもない。

 そうなったら受験生とデスマッチなんて素手でやらないと勝率めっさ下がるし・・・・・・。


 どちくしょう


 内心めちゃくちゃ渋りつつ、でも表向きは『しょうがねぇなぁ(苦笑)』って感じで床へ刀を置いた。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・めっちゃくちゃ心許無いんすけど・・・・・・・・・・。


 心の中ではぐすぐす泣きながら、背後の刀に未練たらたら。

 でも長年の猫かぶりで身に付いた『』の仮面は、1ミクロンとも変化なし。


「さて、始めようか」


 そう言いつつ挑発するように口の端を上げ、特に構えもとらず軽く足を開いて試練官の前に立てば・・・・・・・・・あれ?

 なんか、これ・・・・・・・・・・殺気?

 え?



 ・・・・・・・・なんか思ってたより強くないかも、こいつ。


 マッチョで頭には大きな傷の跡。

 自分の優位を信じて疑わず、私を見下したような雰囲気。

 普通なら、ビビる要素たくさんのこの相手は、けれど放つ殺気がずいぶんとお粗末なものだった。



 ・・・・・・・・・・・殺気の強さは実力と比例する。

 これまで多数の人間と闘ったり喧嘩してきたりしたけど、その中で気付いたこの関連式。


 まぁ、ハンゾーみたいに殺気を隠したりする連中もいるわけなんだけど、そういった連中は連中で独特の空気持ってるから分かるんだよね。


 危険は全力回避スペクタクルズ使わなくてもいいかも。


 なんて少し考えていたら、それを隙とみたらしく一方的に試験がスタートされた。


(おそっ!)


 どすどすどすと重たい音を立ててこっちに向かってくるそのスピードはちょっと・・・・いやかなり、遅い。


「はぁっ!!」


 なんて掛け声とともに大きく振り上げられる腕。

 そして迫ってくる、拳。



「危ないっ!よけて!」

「・・・・・・・・・」



 聞こえてきたゴンの声に思わず苦笑。


(避けろ?こんなスピードの拳なんて、たかが知れてる)


 私の顔面めがけてくる拳を、ヒット寸前にさらりと身をひねりたやすく回避。

 その際試練官の腕を掴み、勢いそのままひねりを入れれば巨体が嘘のように宙を舞った。


 そして僅かの浮遊後、どすん、と重々しい音を立て地面に落ちたオジサン。


 茫然と眼を見開き虚空を見つめるその眼は、何があったのか理解しきれていないだろうね。

 ちょっと現実に戻してあげようと『周』で強化しつつ『陰』でオーラを隠しながら蹴りを一発オジサンの顔面すれすれに。


 どごん、と重々しい音と同時に砕け散った床の破片がオジサンの顔に傷をつくったけど、女性じゃないんだから文句言わないだろう。



「負けを認めるか死ぬか、どっちを選択する?」

「・・・・・・・・・・・・・・俺の、負けだ」



 てな具合に、あっさりと私は勝利したわけです。









 ごごごごごっと、重々しい音とともに足下から生えてきた橋を伝い主人公組のところへと戻れば、出迎えてくれたのは様々な顔。



「凄いや!全然動きが見えなかったや!」


 純粋に驚きつつ称賛するゴン。


「おっまえ、見た目と違ってどえらくつえーんだな・・・・ハンゾーの言うとおり怒らせないようにしとこ・・・・・」


 ビビりつつ興味津々な様子のレオリオ。


「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」


 ・・・・・・・・・・真っ赤になって目がうるうるな、なんかどこかで見た事あるような反応のクラピカ。


「・・・・・・・・・・」



 そしてやっぱり警戒心バリバリなキルア。



 三者三様、いやいや、四者四様?

 あれか。

 これはあれか。


 レオリオ→クラピカ→私


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くふっ


 いいねぇ〜、いいねぇ〜、 お姉さん お兄さん萌えるわぁ〜。


 この場合、いかにしてクラピカの気を引くかで今後が変わるよな。

 頑張れレオリオ!

 私は出来る限りお前の補助に回るから、おいしい場面見させてくれよな!


 んでキルアー!

 君は私を警戒するだけじゃゴンを落とせないよー!

 ぶっちゃけ君のほうが強いんだから、ちょっと本気見せればゴンのハートは君の物さっ☆


 でもまだほとんど恋愛経験のないキルアには難しいっか!

 よしっ、ここは恋愛経験豊富(笑)な私が手ほどきをしてあげるのが筋だな!



「・・・・・・・・・キルア」

「っ、んだよ・・・・!」



 名前を呼んだだけでこの反応っ!

 相当警戒してる様子に笑みがこぼれそうになるのを堪え、雰囲気を柔らかく調整してキルアへ視線を向け口を開いた。



「そう警戒せずとも、取って食ったりはしないさ。私は(ゴンにもキルアにもそーいう意味で)手を出すつもりはないから、そう心配するな」

「・・・・・・・・」

「・・・・だいたい考えてもみろ。(私はそーいう趣味はないのだから手を出す)意味がない。」

「・・・・・・・・・・意味が、ない・・・・?」

「そうだ。そもそもキルアは、私が誰かれ構わず手を出すような輩に見えるのか?」

「・・・・・・・・・・・見えない」



 少し悔しそうに、拗ねたように口をとがらせる姿はメチャ可愛い。

 ついつい気を抜くとウリウリ頭を撫でまわしたくなるのを我慢し、ぽん、と軽く撫でるにとどめた。


(ぅおっ、想像通り柔らかくて触り心地いいなっ!)


 余り撫で続けるのも駄目だろうと思い、名残惜しいけどキルアの頭から手をどかす。

 そして視線をステージ上に戻せば、すでに次の試合は始まっていた。



「って、なんでゴンが出てんだよ!」

「お、もう話し終わったのか」

「すみませんさん!勝手にきめてしまった事、怒って、ますか・・・・?」

「いや、別にかまわないさ」



 私とキルアの話は聞いていなかったみたいだけど、邪魔にならないようしててくれたみたいで助かった。

 心配そうに聞いてきたクラピカには安心させるように笑顔を向ければ、ぽっと頬を染めたので苦笑。


(頑張れレオリオ、先は長いぞ・・・・!)


「・・・・・・・・肉体派じゃないみたいだから、大丈夫そうだな」


 ぽつりとそう呟いたキルアの声が隣から聞こえ、本当に警戒を解いてくれたらしい事に気分が上昇。


「・・・・・・・心配か?」

「べっ、別にっ・・・・」


 茶化す意味を隠してごく普通の調子でそう聞けば、照れたように否定するキルア。

 いや、もう、なんての?

 ミトメタクナイッ!

 ってーの?


 んふふふ腐ふフフフふふ・・・・・


「トモダチのことを心配するのは、恥ずかしい事ではないぞ」

「!!」


 最初は驚愕。

 そして瞬時に顔を赤くし茫然とゴンを凝視するキルアの様子は、ようやく自分たちの関係に気付いたようですごく萌え微笑ましい。




(ハンター試験終了までにくっついてくれればもう言う事はなしだ!)












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