私がキルアとそこそこ打ち解けている間に始まったゴンの試合は、思いのほかあっさり終わってしまった。
試合内容はあれだ。
不自由な二択。
試練官の用意した短い蝋燭と長い蝋燭どちらかを互いに選び、より長い時間火を灯していた方の勝利という、ある意味頭脳戦。
明らかに長い方の蝋燭が有利そうだけど、もし細工してあったら。
しかし実はそれを読んで何の細工もしてなかったら。
単純に考えるか、難しく考えるか。
二つに一つ。
負けるか、勝つか。
・・・だけど、こういった試合で運任せなものはするはずがない。
向こうはこちらを妨害する立場なのだから、確実に勝ちにくるはず。
ならば考えられる方法は2パターン。
実は両方普通の蝋燭である場合、あるいは両方がハズレの蝋燭である場合。
前者の場合受験者が長い蝋燭を選べば、火が消えたほうが敗者なのだから受験生の持つ火を消そうと行動する、なんちゃってスピード勝負。
後者の場合初めから普通の物とハズレの物長短二つ、計四本を受験者の選択に会わせ入れ替える、騙し勝負。
ここでネックになるのが、この勝負を持ち出した試練官のタイプ。
明らかな戦闘タイプなら前者。
それとは真逆に、頭脳戦タイプなら後者となるわけだ。
さてさて、それでその試練官はというと、もうあきらかに頭脳戦タイプ。
つまり純粋・単純・一直線なゴンには本来ならば天敵ともいえる相手なんだけど、今回の勝負はゴンに有利な物となってしまった。
やはりというか
(燃えやすいよう細工のしてあった)
長い蝋燭を選んだゴン。
一方試練官はというと
(普通の燃え方の)
短い蝋燭。
普通に蝋燭が溶けるのを待つのなら、間違いなくゴンの負け。
けれどそれだけ燃えるのが早いという事は、それだけ火の勢いがあるという事。
風の強いステージ上に放置していても火が消える心配はなく、ゴンは床に自分の蝋燭を置き試練官のもつ蝋燭へ駆け寄りふっと一息。
たったそれだけで、2試合目も又受験者側の勝利となったわけだ。
某BLゲーム攻キング様のコスプレしていたのがいけなかったのか・・・・?
楽々と勝利して帰ってきたゴンを出迎えるキルアは、ひどく挙動不審でした。
「よし、あと一勝!あとは俺かクラピカが勝って前進だ!」
普段のキルアなら今のレオリオの言葉に反応しただろうけど、どうやらそれどころじゃないらしく帰ってきたゴンの腕を引っ張り隅のほうへ。
「・・・・・・・なんだあいつ?」
「
(告白か?告白だな!?ひゃっふー!)
気にしてやるな。それより、次は誰が行くんだ?」
「私が!私が行きます!」
はいはいはーい、と言わんばかりに手を突き上げ元気いっぱいなクラピカ。
・・・・・・・・何故私を見る。
「おまえ・・・・」
「私が行くっ!文句あるのかレオリオ!」
「いや、ねぇけどよ・・・・」
・・・・・・だから私を見るな、レオリオ。
そしてクラピカ、自主的『待て』をするな。
私が望むのはレオ×クラだ。
そしてキル×ゴンだ。
リバースも可。
ほらほら、聞き耳を立てれば隅のほうでキルアの告白タ〜イムも聞こえてくるよ。
君たちもいずれは歩む道だよ。
「な・・・・なぁゴン、あのさ・・・」
「なぁにキルア?次の試合はじまっちゃうよ?」
「いや、あ、うん、そうなんだけどさ・・・・」
「んー?」
「・・・・その、お・・・俺たち、って・・・さ、その・・・・友達か?」
「え?違うの?」
「―――――っ!!!!!!」
「変なキルアー」
・・・・いや、うん、まぁ、何事もまずはお友達からってことだね、うん。
私も『君たちは友達』発言しちゃったし、私の希望はちょっと早かったよねー。
それに二人はまだ子供なんだし。
これからだよね、これから。
だけどレオリオとクラピカはもう十分に育ってるから何時でもくっつけるよね?
なんてほんのり期待を込めて視線を向ければ、さっきと変わらず『待て』実行中のクラピカが。
あー・・・・
「時間がもったいない。さっさと終わらせて先へ進もう」
「〜〜〜〜〜っはい!行ってきますっ!」
GOサインを出せばしっぽを振る幻影が見えた。
・・・・・・・・幻影、だよな?
上機嫌でステージへ向かうクラピカの姿を追いながら、ふと横を見てみると目をこすってるレオリオの姿。
・・・・・・ああ、お前も見えたのか。
なんてちょっと遠い目してたら、出てきた次の対戦者。
なんかキモい。
思わず目をそらしてしまった。
「げ、すげェ体・・・・と顔」
レオリオの呟いた言葉は後半に同意するよ。
前半の体は、どうも見た限り実戦的な筋肉の付き方じゃなかったし。
あれだ、ボディービルみたいな見世物筋肉。
それ自体はいいんだ。
私はどっちかというと細マッチョよりゴリマッチョが好きだから。
でも問題は顔だ。
いくら人間中身が大事とはいえ、やっぱり顔も大事だ。
まぁ、多少の欠点くらいなら目を瞑れるけれど、この試練官は完全に駄目だ。
いいところが筋肉除いたらひとっつも見当たらない。
よっぽどのゲテモノ好きなら問題ないだろうけどね。
でも私はいやだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・っていうか、だから私は今、男。
なんで好みの男の話してんだろ・・・・・。
あ、もしかして数十年ぶりの腐的な盛り上がりに意識が前世の女子高生に戻りかけてんのかな?
やべぇやべぇ。
外面はずっと被って半同化してる猫のおかげで早々影響はでないけど、もし、ちょっとした気の緩みが表にかすかにでも出てきたら、今まで築き上げた『』が総崩れしてしまう。
今の私はノーマル!
レンアイのお相手は女性!
確認するように内心で何度もそれを唱えれば、ある程度心も落ち着いて普段の私に戻ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・
(あれ?)
」
落ち着いた事もあって周囲にも意識が向き、そろそろクラピカの試験が始まるかなっと思って見てみれば何故か地面に倒れてるキモ顔マッチョ。
何が起こったんだろうと内心首を傾げていれば、横のレオリオから『えげつねぇ・・・』との呟きが。
・・・・・・・・・・・・・何をやったんだクラピカ・・・・
「スタートの合図と同時に迷いなく急所に一発なんて、顔に似合わず手早いな・・・・」
「クラピカどうしたんだろうねー」
・・・・・・・・・・・・・なるほど。
二人の世界☆から帰ってきたキルアの言葉でようやく理解。
(えーっと、私が『早く終わらせろ』的な事を言ったからかな?ハハハ・・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(・・・・・・・・・・・えと、私ってケツ
(下品)
狙われてる・・・・・?)
んー、でも、今まで何度か私のケツ
(下品)
狙ってきた連中とは違う気がするんだけどなー。
っていうかー、レオ×クラだしー。
(昨日一晩一緒にいたハンゾーなら何か知ってるかもしれないな・・・・・・・・)
よし、あとで聞いてみよう。
「・・・・・・・・クラピカのことは置いておいて、とりあえずこれで三勝だ。先へ進んでも構わないな?」
「・・・・・・・・・・・・・ああ、君たちの勝ちだ。」
誰も動かないので仕方なし、私が率先して試練官たちのほうへそう言えば私と対戦したおっさんがそう答えてくれた。
「・・・・ここを通り過ぎると小さな部屋がある。そこで休むなり何なり出来るようになっているから好きにすればいい」
「ご親切に」
そう返すや否や、引っこんでいたステージと出入り口をつなぐ橋が出てきた。
それを私が渡り始めれば残るメンバーも動き出し、ステージでクラピカと合流すれば花のような笑顔を向けられたよ。
もうあれだね、犬。
見えないはずの尻尾が千切れんばかりにパタパタと動いてるのが見え、これを言葉に表すなら『褒めて褒めてっ!』かなぁなんて遠い目。
「・・・・・・・・お疲れ様、クラピカ」
「っはい!!」
・・・・・・・・・・・・なんで彼は女の子じゃないんだろう。
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