あれあれ? デジアドの原作って、こんな早く始まるんだったっけ? なんて疑問を持つことになったきっかけは、前日の夜から始まる。 真夜中にふと感じた胸騒ぎ。 ぐっすりと眠っていたのに目がパッチリと覚め、一緒に寝ていたヤーモンも同じ感覚を感じたのか少し不安そうに目を覚ました。 「・・・なんだろう、この感じ」 「分かんない・・・・けど、なんか少し懐かしい感じがするよ、」 「懐かしい? それってもしかして・・・・・デジタルワールド関係?」 「うーん・・・・たぶん」 「・・・・・・・・」 そんな会話をした矢先、ふっと体が軽くなる感覚。 それまで感じていた胸騒ぎも、きれいに無くなった。 「・・・・“閉じた”」 「?」 「あ・・・・えっと・・・・なんとなく?」 「?」 「多分、デジタルワールドにつながるゲートが開いてた・・・・っぽい?」 「へぇ、さすが!」 なんとなくで口を衝いて出た言葉だけど、多分間違いない。 でも、なんでゲートが? しかも今の感じだと、結構近くっぽい。 「・・・・・・・・・・まぁ、詳しく調べるのは明日にして、寝よっか、ヤーモン」 「うん、おやすみー」 「オヤスミ」 そんな感じに再び眠気に負け眠ったんだけど、翌朝再び妙な感覚を感じ飛び起きたり。 どんな感じかと言うと、こう・・・ひどくそわそわする感じ・・・? ヤーモンもすこし不安なのかすり寄って来たから、落ち着くように頭を撫でたらコロッと気分をよくしてくれた。 そのあとは窓の外を飛んでるシャボン玉を二人(一人と一匹?)で眺めたり、母さんにばれないように俺の影の中に隠れてるヤーモンへご飯のおすそ分けをしたり。 そしていつものように隣の八神家へと遊びに行ったんだけど、問題はここから。 「ご、ごめん、きょうはちょっとようじがあるから、あそべないんだ、はは、はははははっ・・・・」 怪しさ満点だぜ、タイ兄。 とりあえずその時は家へと帰った。 母さんが『あら、今日はヒカリちゃんと遊ばないの?』とか聞いて来たけど、『なんかようじかあるってー』と適当にかえし部屋へと逆戻り。 んで気になっていつも影の中に放りっぱなしだったデジヴァイスを取り出してみればあら不思議、なんか反応してるじゃないですか。 しかもその直後にお隣からどたんばたんと騒ぐ音が聞こえてきた。 「これはデジモンがお隣に来たっぽいね、ヤーモン」 「っぽいねー、ー」 「まぁ、俺もヤーモン紹介してないからお相子と言えばお相子か」 原作の通りになるのなら巻き込まれるのも面倒だしとヤーモンのことを紹介しなかった、っていうのもある。 けど実際のところは、ヒカリはいいけど、タイ兄の場合正直、嘘が下手だから教えてないんだ。 考えても見ろよ。 タイ兄の場合ヤーモンが俺の傍にいるといったら『俺も欲しい!』とか言いかねないし、『絶対秘密!』とか言えば絶対に言わないだろうけど、その言動に違和感がバリバリになるのは目に見えている。 現にさっき俺が遊びに行った時の言動。 あれはあからさまに何か隠してますって言っているようなものだ。 短期間ならばいい。 だけど長期間ともなれば、確実にどこかでその嘘がばれるのは明白。 ならばタイ兄がもう少し大きくなって嘘もそれなりに付けるようになるのを待つか、原作スタートのときにバラすかの二択。 まぁ一番いいのは、原作なんて始まらずこの世界独自の物語をそれぞれの人が紡いでいく、っていうのだけど、どうも俺の勘は原作と同じことが起こると言っている。 というか最近どうにも勘が冴えて冴えて。 闇の紋章を得たプラス、影を扱えちゃったりする能力の付随効果かなんかかね? 「・・・・・ヒカリはなんか勘づいてそうなのがまた・・・・」 あんまり覚えてないけど、確かヒカリには俺のとはまた違った不思議な力が宿ってはいなかったか? ときどきヤーモンが隠れた俺の影をじっと見てたり、何故か使えるテレパシーもどきでヤーモンと喋ってるときにきょろきょろした後耳をすませたり。 バレるよりはバラしたほうが印象いいし、そのうちヒカリには話すとしよう。 ・・・・・・とりあえず、今お隣に来ているデジモンの騒動がある程度終わった後くらいに。 しっかし、原作ってこんな早く始まるんだったっけかな? タイ兄とか幼すぎる気がするんだけど。 あ、いや、あーいったアニメは主人公が幼すぎても意外としっかりしてて大丈夫だったりするもんな・・・・。 でもやっぱり、タイ兄は俺から見て普通にまだ幼すぎるような・・・・・。 うーん、まぁ、なんかやばそうだったら助けに入る形でいればいいかな? ヤーモンはまだちっこいから戦力として期待していいか分かんないけど、俺の場合影を使えばそれなりに戦えなくもないだろうし。 うん、よし。 一先ずは傍観と言う事で |