あっさりさっくりと、二次試験は無事終わった。


 なんかやっぱりあの試験官からの視線はあったけど、なんかそれ以外にも視線が増えているような・・・・・?

 まぁ、今のところ害はないからいいか、と無理やり納得し、私たちは次の試験会場へ移動すべく再び飛行船へと乗船していた。







萌と癒しが足りない・・・・・・









 もう朝からいろいろ気疲れ続きの一日。

 ていうかストレス?


 参加する気なんてまったくなかったのに、もうここまできたら主人公組みとかかわらないように出来るところまでやってみよう、せっかくだしと割り切った。


 が、割り切るまでちょっとストレスが無駄に溜まっていたみたいで、眠気マックス。



 なんかネテロ会長が挨拶するとかって集められたけど、ぶっちゃけそんなのいらないから。

 まだ8時ちょい過ぎだけど、私もう寝たいの。

 爆睡したいの。


 ほら、まぶたももうくっつきそうですよー。

 欠伸なんてかましたら流石に駄目だろうと我慢してるけど、いい加減はやく話し終われよー。


 なっげーんだよ、お年寄りっていっつもなっげーんだよ。


 とか内心ぼろくそ言ってたら、察してくれたのか偶然か、早々に解散となった。



、行こうぜ」

「・・・・・・・・・ああ(うー、ねみーよー)



 欠伸をこらえつつ振り替えれば、ぼすっと胸元に誰かがぶつかった。

 瞬間的にその相手が金髪美人だと判断した私は、ぶつかった勢いで姿勢を崩した相手の腕を取り、倒れるのを阻止。



「すまない、怪我はないか?」

「え、あ、はい・・・・」



 いつもの癖で顔には微笑みプラス、安堵の表情。

 そして姿勢を正した金髪美人と目が合った瞬間、



(ふおっ、え、ちょ、こいつって・・・・主人公組の金髪!!やべぇ!!!)



 美人は美人でもこいつ男だよっ!

 ちっ、寝ぼけてて男か女かの区別もあいまいって・・・・要精進だ!



「あれ、あんたって確か・・・・えと、、だっけか?」



 寝ぼけて性別間違えて、しかもそれが主人公組みとかマジ最悪。

 なんてどえらくショック受けてたら、更なる驚愕が。


 名前を呼ばれて振り返ったら、そこにはスーツ来たのっぽさん。



(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また主人公組ぃーーーーーーーーーーーっ!!!)



 嗚呼っ・・・・・・・・・・・・なんで名前知られてんのっ・・・・・・・・・・・!?


 内心ではめっちゃくちゃおののきつつ、外面は長年のポーカーフェイスで軽く片眉を上げる程度。



「・・・・・あんた達は(何で私の名前知ってるんですかーーー!?!?!)?」


「あ、お、おう、俺はレオリオ、んでそいつが・・・・」

「クラピカですっ」


「「!?」」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・あ?

 な、なんでこのクラピカさんは、私のことをキラキラした目で見てるの・・・・かな?


 しかもうっすら頬なんて染めちゃって、まるで恋する乙女・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっ!?



「そうか、知っているかと思うがだ」



 って、私はなに自己紹介しちゃってるんすかーー!?!?



「あ、俺はハンゾーな!とは同郷の幼馴染なんだぜ!」



 つか、ハンゾーてめぇっも、なに親しげに声かけてんだ!!


 え、あれ、なんか『一緒に夕飯でもとろうぜ』な流れになってんすけど?

 あ?

 ハンゾー、おまえなに私の腕引っ張ってんの?

 くっそ、眠くて思考がまとまんねぇし!!



 ・・・・・・・・・・・・・って、なんかいつの間にかトンマ?も話に加わってるよ・・・・・・・・・。


「次の試験受かりたけりゃ、飛行機ここでも気を抜かない方がいいってことだ」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何の話っすか?


 わけが分からずボーっとトンマを見下ろしていれば、唐突に視線が合った。

 そりゃぁもう、ばちっと音がしそうなほどがっつりと。


 そしたらトンマの野郎、信号が変わるみたいに顔色が青く早変わり。

 しばらく真っ青になって固まってたかと思うと、急に身を翻しどこかへと行ってしまった。



 ぽかーんと見送っていれば、どうやらハンゾーたちもそれは同じらしい。



「・・・・・・・・・挙動不審」

「だな」



 思わず口をついて出た言葉に同意の言葉をもらいました。













 どうやらハンゾーは喋り足りなかったらしい。

 私はほら、眠くて無理だし。


 だから、レオリオとクラピカがどういうわけかフレンドリーなのは、渡りに船。


 私は眠いから先に休むと言いそそくさと離れたけど、頼むからハンゾー、いらんフラグは立ててくれるなよ・・・・・・・・・。




「・・・・・・・ふぁあ・・・・」



 思わずついて出た欠伸。

 滲んだ目じりを指でこすり、今まで持続して使用していた念《危険は全力回避スペクタクルズ》を解除。

 すると今までレンズ越しだった世界がクリアになり、わずかばかりの開放感が。


(さて、どこで寝よう・・・・・・)


 軽く円を伸ばし、人気がない、そして危険人物が近くにいなさそうな場所を探りそっと潜り込む。


 ゆるゆると迫って来る眠気の波にゆったり身を任せながら壁に背を預け、ずるずると座り込めばもう、眠気を我慢できるはずもなく・・・・・・・・・・・・




「・・・・・・・・・・・・すぅ・・・・・・・・・」




 一度深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出せばもう次の瞬間思考は完全停止。



 抱え込むように立てた刀を簡易枕に、私は長かった一日をようやく終えた。















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